かずかずの よよのほとけの いましめを
いまにたえせず みちおしゆなり


 九州西国観音霊場結願の寺は、菅原道真公ゆかりの太宰府にある観世音寺。「日本書紀」によれば、天智天皇が母の斉明天皇の菩提を弔うために発願され、天平18年(746)、八十有余年を費やして完成されたといい、正面に講堂、東に五重塔、西に東面金堂、手前に中門を備えた伽藍配置は、白鳳期の観世音寺式と称される。
 この寺は660年代に設置された大宰府政庁の東に造営され、天平宝字5年(761)には戒壇院が設けられ、西海道諸国の僧統をつかさどる大宰府の大寺(府大寺)となった。その戒壇院は、大和東大寺戒壇院などと並び日本三戒壇に一つに数えられている。
 たま、菅原道真公も「都府楼(大宰府政庁)わずかに瓦の色をみる、観音寺はただ鐘の音をきく」と詠んだこの寺の梵鐘は日本最古のもので、国宝に指定されている。
 観世音寺宝蔵には、藤原から鎌倉にかけての十六体の仏像が安置され、そのいずれも国指定重文で、西日本随一の文化財が収められている。
 諸尊と御縁を結ばさせていただく清祥巡拝の旅は、また、それら諸尊や、御仏たちを奉じ法灯を受け継いできた寺々の歴史を訪ねる旅でもあった。
 千有余キロに及ぶ筑紫路の霊地をめぐり来た巡礼者の心に、観世音寺の名鐘の響きはいかばかりしみわたることであろうか。

聖観世音菩薩 天智天皇
天台宗
〒818-0101 福岡県太宰府市観世音寺5−6−1
092-922-1811 092-922-1890


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まえの札所 つぎの札所
江戸時代に再建された講堂

国指定の文化財や
寺宝が数多く所蔵
されている宝蔵

金堂には
阿弥陀仏が
祀られていた

菅原道真は
この鐘の音を聞いて
詩を詠じた
白鳳時代の鐘
国宝に指定され
ている日本最古
の銅鐘


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